「みんなの日本語 初級I・II」 の教案 ( 第1課〜第50課)
初級II(第26課〜第50)の教案はこちらで販売しています。
初級I(初級会話〜第25課)
【教案】「みんなの日本語」の授業の進め方
[語彙] → [A.文型導入] → [B.C.口頭練習] → [書き練習]→ [応用練習]→[会話]
「みんなの日本語 初級」では1つの課で2〜4つの文型を学習します。1つの文型を導入したら、基本的な口頭練習(「パターンプラクティス」と言います。)を十分行い、書き練習で定着させます。それからクラスのレベルに応じた応用練習を行います。全ての文型が習得できればその課は終了です。
私の場合1つの課で要する時間は、4時間から6時間くらいです。一般的な進度より少し遅めです。その理由は、私の授業は「とにかく文型を暗記して試験に合格させること」ではなく「日常で不便がないレベルの日本語を、実際使えるように身につけること」であるからです。
また日本で学習している外国人学生の多くは生活のためにアルバイトをしています。そのため自宅学習をする時間があまり取れないのが現実です(これは日本の大学で働いてから知りました)。
ですので私はできるだけ教室の中で全てを覚えさせるつもりで授業を行っています。以下各項目ごとに使用する教材などをまとめます!ご参照ください。
語彙の教え方
語彙は「みんなの日本語」の補助教材を使用します。
新出語彙のと文法解説がセットになった本です。こちらのページを使いリピート練習で導入します。
2018年4月現在、「みんなの日本語」初級Iの「翻訳・文法解説」は英語、中国語、韓国語、ビルマ語、タイ語、イタリア語、ロシア語、ドイツ語、フランス語、インドネシア語、スペイン語、ポルトガル語があります。(スリーエーネットワークHPより。他の言語も随時発行されています。)
また語彙は文字だけだと飽きてくるので
この本の絵を拡大して印刷し、語彙を覚えたかどうか確認します。語彙はたくさんあるので、最初だけでなくその課を練習しているときは毎回授業の最初にリピートし、絵カードを見て言わせる練習もましょう。(基本は5分程度でいいです。覚えるのが遅いクラスなら8分が目安です)
語彙は文型に合わせて少しずつ導入していくという方法もあります。複数の先生で1つのクラスを教えている場合打ち合わせが要りますが、語彙の数が多すぎる、意味の違いがわかりにくい、その文型で使う語彙がほぼ決まっているときなどにはこちらの導入の方がいいです。
文型導入
「みんなの日本語」の文型を勉強します。耳で聞いて話す練習に集中させるため教科書は基本的には開いていない状態にします。
導入の時は絵やジェスチャーで状況を示し、その時日本語でなんというか例文を提示します。
例文の内容は最も重要です。海外の語学学校で教えている場合、面白い状況やその国にしかない固有名詞などを用いるのも楽しいですが、基本的に奇をてらわず平凡な文にした方がいいです。教員はウケるだろうと思っていても初級の学生には意味が通じていない場合があるからです(経験談)。
例文導入の際にはこちらの「絵で導入・絵で練習」本をよく使います。例文が豊富なので、口頭練習や復習の時にも大活躍します。教案作成や前日の復習にも何でも使えます。
口頭練習の仕方(みんなの日本語 練習B)
話せる日本語を習得するためには「頭で文型を作らなくても、瞬時に文が口から出ること」ができるようになる必要があります。
そのため文型の導入後はたくさんの口頭練習を行います。単語を入れ替えたり、動詞を活用させる単純な練習をしたりします。飽きさせないように工夫しながら時間をかけて行います。パターンプラクティスには以下のような練習があります。
(教師:T 学生:S)
リピート練習・・・教師が言った文をそのまま繰り返す口頭練習のこと。
例
T: これは日本の本です。
S: これは日本の本です。
T: これはペンじゃありません。
S: これはペンじゃありません。
- 代入練習・・・教師のキューをもとに、学習者が文型に語彙や表現を代入する口頭練習のこと。
例
T:日本
S:私は日本人です。
T:中国
S:私は中国人です。
T:ベトナム
S:私はベトナム人です。
変形練習・・・教師のキューに従って文を変換させる口頭練習のこと。
例
T:ない形で言ってください。ここでタバコを吸います。
S:ここでタバコを吸わないでください。
T:図書館で話します。
S:図書館で話さないでください。
拡大練習・・・言葉を順次増やして長い文にしていく口頭練習のこと。
例
T:行きました。
S:行きました。
T:会社
S:会社へ行きました。
T:バス
S:バスで会社へ行きました。
T:一人
S:一人でバスで会社へ行きました。
応答練習・・・質問と応答をする口頭練習のこと。
例
T:日本料理が好きですか。
S: はい、好きです。
T:どんな日本料理が好きですか。
S1:天ぷらが好きです。/S2:すき焼きが好きです。
口頭練習の仕方(みんなの日本語 練習C)
導入した文型が十分に言えるようになったら、練習Cで聴解練習をします。CDはみんなの日本語の本冊後ろに付いています。基本的な私のやり方は、
- 教科書を見ずにCDの例の会話を2回聞かせる。
- 内容について質問し、理解しているか確認する。
- 一文ずつCDを流してリピートさせる。2回ぐらい練習する。
- CDを使用しないで、そのまま言わせる。
- 教科書のCの部分を開けて文を確認する。
- 例文の下線部を入れ替えて(1)と(2)をペアで練習させる。(上位クラスは教科書の絵を見ながら内容を2人で推測させる。下位クラスはヒントになるキーワードを板書する。)
- みんなの前で発表させる。発表させる時は教科書は見ない。(多少内容が変わっていてもよしとする。)
クラスの様子やその日の参加人数などによって内容は微調整します。ポイントは暗記させて丸ごと覚えさせることです。
書き練習の仕方
十分な口頭練習をしたら書く練習を行います。
教師が指示して作文をさせたり↓のような「みんなの日本語」の補助教材があるので文型に応じた箇所を指定して書かせます。
学生に書かせている時、教師は一人ずつ机間巡視して確認します。できてないようでしたらもう一度説明することもあります。
応用練習
上記の基礎練習が終了したら応用練習を行います。(毎文型させなくてもいいです。)ここは学生が自由に発言できるので楽しいところです。応用練習はプリントを使って学習者同士でペアワークさせることが多いです。
応用練習プリントは自作する先生方も多いです。市販で使われる教材は以下のようなものが定番です。
クラス活動集101―『新日本語の基礎1』準拠 (しんにほんごのきそシリーズ)
会話
会話は初めにCD(教科書に付いています)だけ聞かせて、ディクテーションさせます。全てするのは時間がかかるので、あらかじめ教科書の会話ページの重要な文だけ白抜きにしたプリントを作成し、ディクテーションしながら聞かせます。その後ディクテーションの答え合わせをし、ペアで会話練習し発表させます。
発表するときは状況がわかりやすい小道具(チケットや電話など)があると学生が演技に集中できます。
DVDが別売りされているので最後に見せてもいいです。
これで教え方と使用教材の紹介は終了です。それでは教案をご覧ください!