使いましょう
A: <名詞>さえ+<動詞ーば・い形+ければ・な形+なら・名詞+なら>〜。/<動詞ます形>さえ すれば、〜。
- 「それだけあれば(なければ)、後ろの状態が成立する」という意味です。
- 導入は「<名詞>さえ、〜ば」の方から開始して、その後「<動詞ます形>さえすれば」の方を練習するとスムーズです。
- この「中級から学ぶ日本語」の8課で、「〜ばそれだけで」と言う文型を勉強しています。この文型と近い意味で、言い換えることが可能です。
これがあれば十分だ
愛/お金 さえあれば、なんでもできる。
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カップラーメンはお湯を入れさえすれば食べられる。/お湯さえあればできる。
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後ひとつあれば全てそろう
A:まだ帰らないんですか。
B1:もう少しで終わりそうです。このメールさえ送れば、帰れます。
B2:もう少しで終わりそうです。このメールを送りさえすれば、帰れます。
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A:お弁当も入れたし、お菓子も用意したし、行き方もしらべたし、あとは靴さえ履けば、すぐ出発できる。
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A:今の職場、残業もないし、人間関係もいいんでしょう?
B:うん。後は給料さえ良ければね。
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A:少し調子が悪いんだ。
B:薬を飲みさえすれば、すぐによくなりますよ。/薬さえ飲めば、すぐ良くなりますよ。
これがなければ、大丈夫だ
A:昨日のCさん、酔っ払って大変でしたね。ちょっとびっくりしました。
B:そうだね。お酒さえ飲まなければ、いい人なんですが。
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A:ちょっと寝坊しちゃった。飛行機間に合うかな。
B:タクシーを呼ぼう。道が混みさえしなければ、間に合うはずだよ。
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〜の場合はいつも〜だ
娘は時間さえあれば、ケータイをみている。
- 使いましょうA
その他の接続
- <動詞て形>さえ いれば/あれば/おけば、〜。
(授業に出席している)
毎日学校に来てください。授業に出席してさえいれば、単位がもらえます。
(有名人が使っていると紹介してある)
有名人が使っていると紹介してあれば、ついその商品を買ってしまう。
(名前を書いておく)
この学校は誰でも入れる。試験は名前を書いてさえおけば誰でも合格できる。
- <い形容詞+く>/<な形容詞+で>/<名詞+で>さえ あれば、〜。
(もう少し安いです)
もう少し安くさえあれば、この車を買いたいんですが・・・。
(家族が健康です)
家族が健康でさえあれば、他に何も要りません。
(交通が不便でない)
交通が不便でさえなければ、この家を借りたいのですが・・・。
(建設的な意見です)
建設的な意見でさえあれば、どんなものでもおっしゃってください。
B:<動詞辞書形/名詞+の>たびに〜。
「〜するときは/あることが起こると、いつも同じことが繰り返される/必ずこうなる」と言う意味です。N3文法。
その歌を聞くたびに、小さい頃を思い出します。
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故郷に帰るたびに、ビルやマンションが増えていて驚きます。
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姪は会うたびに綺麗になります。
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台風が来るたびに、学校が休みになるので困る。
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買い物のたびに、要らないものを買ってしまう。
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最近大雨が多い。そのたびに川があふれて被害が起きている。
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新しいプロジェクトを始めてから何度も失敗しそうになった。そのたびに田中課長が助けてくれた。
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この映画が好きで、もう10回以上みた。そのたびに新しい発見がある。
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- 使いましょうB
C:<名詞>において(は)、〜。/<名詞>における<名詞>
- 「〜において」は「〜で」という意味で、場所、状況、時間などを表す言葉がはいります。「〜においては」は「〜では」、「〜における<名詞>」は「〜での<名詞>」という意味です。書き言葉で、論文などでもよく用いられます。
- <時間>において、と言う場合の時間はある程度長い時間にしか使えません。(「人生」、「時代」、など)
- 導入は「〜において」から始めるとスムーズです。(場所の「で」と置き換えて説明できるので)
今日の会議は3階の会議室において行います。
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SNSは現代の人々の生活において、不可欠なものになっている。
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この時の事故において、多数の人が大きな怪我をした。
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インターネット技術が発達していなかった時代において、電話は重要な役割を果たしていた。
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この王は歴史上における重要な人物だ。
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国会における彼の発言が日本中で問題になった。
「おいて」の辞書形は「おく」ですがこの文型では「おける」となります。もし学生に聞かれたら、昔の日本語の文型の影響だと言っておきましょう。
- 使いましょうC
- 聴解IABC
D:<名詞>の下*で〜。
*「下で」は「もとで」と読みます。N2の文型です。
- 「人や、何かの影響や何かの条件の範囲内で、〜する」と言う意味です。「〜の下に」という言い方もあります。
- <名詞>には例文のほか「援助、協力、影響、環境、管理、条件」などの言葉もよく使います。
- 導入の際「傘」を描いて説明するとイメージしやすいそうです。「その保護の下で何かをする。そこにいれば色々安心だ」と言う気持ちがあります。
人のいるところ
私は結婚するまで、両親の下で暮らしていました。
佐藤先生のご指導の下で、アジアの経済を研究しています。
厳しい課長の下で営業について学んだ。
抽象的な使い方
独立と自由の名の下で、人々は心を一つにして戦った。
経済発展のかけ声の下で、あの時代のサラリーマン達は休まず働いた。
影響が及ぶ範囲で
その国の子ども達は法の下で(/に)守られている。
あのパンダは国の保護政策の下で(/に)大切に育てられる。
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- 使いましょうD
E:<動詞ます形>つつある。
- 「長い時間の間にだんだん〜している」「少しずつ進んでいる」という意味で、それが進行中であると言うことを表します。(「増えている」は結果、「増えつつある」は進行中)
- 「〜つつある」の前には「〜く/になる」「増える/減る」「上がる/下がる」「伸びる」「失う」などの変化を表す動詞がよく使われます。N2の文法です。
日本に来る留学生の数は増えつつある。
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オリンピック開催に向けて、国内施設の準備が進みつつある。
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昨年の地震による被害を受けた地域は少しずつ復興しつつある。
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医療の発達によって、日本人の平均寿命は年々伸びつつある。
日常的なことよりも抽象的な内容を表現するときによく使います。
練習問題4の「によって」は原因・理由を表します。
- 使いましょうE
- 速読AB
書きましょう
A-1:<動詞/い形容詞/な形容詞/名詞>の普通形+と言われるかもしれないが、それでも<動詞て形/動詞ます形>、〜。
例文
年寄りには無理だと言われるかもしれないが、それでもチャレンジしたいと思い、今からロシア語を学ぼうと考えている。
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アルバイトは時間の無駄だと言われるかもしれないが、それでも色々な経験をして、将来どんな仕事をしようか真剣に決めたいと思っている。
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今から環境対策をしても遅い言われるかもしれないが、それでも一人一人の努力は、地球を守ることにつながっている。
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- 書きましょうA-1
A-2:<動詞辞書形/て形+いる/ない形>うちに、〜。ふと気がつくと<動詞/い形容詞/な形容詞/名詞>の名詞修飾型*+<名詞>/の は 〜。
な形容詞としましたが、「な形容詞+である」「名詞+である」も使えます。
この文の「うちに」は「何かをしている間に変化が起きた」と言う意味です。(中級から学ぶ日本語14課)
例文
残業しているうちに、11時になっていた。ふと気が付くと、事務所に残っているのは自分だけだった。
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仕事に夢中になっているうちに、すっかり年をとってしまった。ふと気が付くと、部長と呼ばれる立場になっていた。
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話しているうちに、田中君と私は似ている部分が多いとわかった。ふと気が付くと、いつも心の中にいるのは彼だった。
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- 書きましょうA-2
- 聴解IIAB