ここでは2008年版『テーマ別 中級から学ぶ日本語<改訂版>』の進め方について書いています。こちらのレベルはJLPTN3からN2程度です。一課ごとにテーマがあり、それに沿う長文(読解問題)が用意されています。その後文の中に出てきた文型を導入・練習するという流れです。DVDはありません。
こちらは最新のテキストではありません。2014年発売の三訂版に入る前の前準備として書いています。(ほとんど私の知識の整理のためです)
いっしょに考えましょう
これから読む長文に関する5つの質問に答えます。例えば、一課のテーマは「たとえる」です。そして質問内容は「猫のような人と言われたら、どんな人のことを考えますか」など聞いています。質問内容が難しい時は教員が設問の意図を鑑みて補足説明し、解答例を提示しましょう。その後ペアで答えを考えて、発表させます。きちんと時間をとって発話練習の時間を取りましょう。
順番
- 質問を学生に読ませる
- 自分の答えをノートなどに書かせる。(辞書は出来るだけ見ない※)
- 2、3人でディスカッションする。
- 面白かった解答をペアごとに発表させる。
※知っている表現を使い自分の言葉で答えられるように訓練するためです。
新しい言葉
上記「いっしょに考えましょう」と同じページにあります。2008年版には翻訳がありませんので、もし教室で教える場合、口頭説明では限界があるので翻訳表を教師が作成しなければなりません(汗)。これも初級の時と同じく一緒に使う助詞の確認や意味の補足説明をしましょう。写真や絵も必要に応じて準備しましょう。
本文
本文にはCDがあるのでそちらを使います。(旧版のものなので、リンク先在庫切れの可能性がります。)流れとしては
- CDを最初から最後まで全て流して聴く(2回程度)
- CDを「。」ごとに止め、一文ずつリピートさせる。
- 教師が本文を読み、学生に漢字に「ふりがな」を書きこませる。
- 教師が本文を一文ずつ読み、学生がリピートする。読みながら本文の内容説明をする。
- 学生だけで本文を全て読む。(出来るだけスピードを合わせる)
という流れです。
答えましょう
本文に関連した10の問題に答えます。1〜8までは内容理解、9、10は自由回答問題です。質問文を一緒に読んで、ノートに答えを書かせます。ポイントはフルセンテンスで答えさせることです。
例)
Q:忙しくて誰かに手伝ってもらいたい時、なんと言いますか。
A:△猫の手も借りたい。→⭕️「猫の手も借りたい」と言います。
一番いい解答は板書してクラス全体で共有します。これから勉強する文型の土台(枠組み)を作っておくイメージです。
使いましょう
新しい文型、表現を勉強します。初級の復習をしながら、導入・練習しましょう。それから学生に問題をさせます。初級の時と違い、問題の答えは色々な解答が考えられます。それぞれに発表させて、どういう状況なのか説明してもらいます。ここでのポイントは学生が言わんとしている意図を汲み取って、より適した言い方を教えることです。
例)第3課「〜と聞いていたのに、そうでもありませんでした。」という表現の勉強中
T:Sさん、どんな答えを考えましたか。
S:この学校は宿題を多くくれると聞いていたのに、そうでもありませんでした。
T:どういう意味ですか。Sさんは宿題がもっと欲しいんですか。
S:え?いいえ、要りません。なくていいです。
T:「くれる」は「くれて、嬉しい、ありがとう」という意味がありますから、意味が違いますね。その場合「宿題をたくさん出す」や「宿題が多い」の方がいいです。もう一度どうぞ。(正しい答えを板書する)
S:この学校は宿題をたくさん出すと聞いていたのに、そうでもありませんでした。
T:いいですね。
といった感じです。慣れてくると他の学生が説明しだしたり、面白い文を言って笑わせたりと、非常に楽しく勉強できます。ここでもよかった解答例は板書して、共有しましょう。
聴解IABC
別冊のワークブックの中の聴解をします。通常AとBはセットで教えます。
A:会話を聞いて、正しいか正しくないか○×で答えます。
B:Aと同じ内容のCDを聴きながらディクテーションします。書き取り量が多いのでCDを止めながら練習します。
C:「会話でよく使われる言い方」を練習します。ディクテーションの後、用法説明をします。ここは会話練習できるポイントなので、膨らませてペアワークなどします。
話しましょう
テーマに関するディスカッションをします。時間を決めて自分の意見を考えさせて発表します。
A:学生に読ませます
B:教師が司会者になって、意見交換させます。
まとめましょう
穴ぬきになっている文を埋めて本文のまとめをしましょう。学生に答えを聞きながら全文板書して、最後に全員で読みます。模範解答と全く同じでなくても構いません。
書きましょう
変形練習が中心です。こちらも「使いましょう」と同様に「学生が言わんとしている意図を汲み取って、より適した言い方を教えること」を意識して答え合せをします。書かせる前に品詞の説明をきちんとしましょう。
聴解II
別冊のワークブックの中の聴解をします。
一人の人がかなり長さを持った話をします。その後問題に答えます。必ずメモを取りながら聞くようにしてください。
A:内容理解の問題です。CDを聞く前に問題文を読んでおきましょう。
B:内容理解の問題です。4つの選択肢の中から正しい答えを一つ選びます。
C:Aの答えを見ながら、CDの内容を要約します。最後に口頭で答え合せします。
答え合わせは板書でも口頭でもいいです。
速読
別冊のワークブックの中の本文の速読をします。
言葉や文法は全て勉強したものです。学生には速く読むことが重要なので、細かいところがわからなくても飛ばして読むように指導します。
進め方
学生が本文に目を通す。
講師が本文を音読する
問題Aをする(タイマーは10分にセット)
問題Aの答え合せをする。
***
問題Bをする(タイマーは10分にセット)
問題Bの答え合せをする。上位クラスは口頭、下位クラスは答えを板書する
以上で一課全体の進め方については終了です。次は教案を書きます。教案は「使いましょう」の文型を中心に書きます。