N1の文法74回目です。強調の意味を持つ「<動詞辞書形/名詞(+助詞)>だに」という文型の意味と例文を紹介しています。
<動詞辞書形/名詞(+助詞)>だに
「だに」は後ろの文によって意味が少し違うので気をつけましょう。
- 「AだにB」は「AするだけでもB」という意味です。例えば「想像するだに恐ろしい」という文は「想像するだけでも恐ろしいのだから、(実際はもっと恐ろしいだろう。)」という意味です。この時、Bには悪い意味の言葉が入ります。
- 「Aだに〜ない」は「全くAない」という意味です。例えば「想像だにしなかった」という文は「全然想像していなかった」という意味です。
- 限られた言葉にしか接続しません。文は丸暗記しておくといいです。必ず覚えておきたいのは、「想像する」「予想する」「考える」「聞く」「思う」「思い出す」「夢」「微動(びどう)」「一言(ひとこと)」です。
- 「夢」は「夢にだに」と「に」がつくほうが多いです。
- ほか難しい語彙ですが、紹介程度に「一顧(いっこ):ちょっと振り返ってみること」「夢想(むそう):想像する、頭で思い浮かべる」という言葉への接続もあります。こちらは紹介程度にとどめます。
例文
- 東京に大きな地震が起こったらなんて、考えるだに恐ろしい
- 政治家による女性差別の発言は、聞くだに気分が悪くなる。
- 後5分遅かったら、私も事故にあっていたと思うだに怖くなる。
- 私に商品を売りつけた詐欺師の顔を思い出すだに不愉快だ。
- こうして家族とハワイに住めるなど、夢にだに思わなかった。
- 首相は記者からの質問には一言だに返答しなかった。
- 3人の男が一斉に押しても、巨大なトラックは微動だにしない。
- 旅先で道を聞いた人と結婚することになるとは、想像だにしなかった
- 社員の生活を一顧だにしない企業は衰退の道をたどるだろう。
- あの司会者が闇営業で芸能界から消えるなんて夢想だにしなかった。