ベルギーを代表するシュルレアリズムの画家、マグリットの美術館へ行ってきました。館内には時代別に200点もの作品が所蔵されています。中学の美術の本にも載っているので知っている人も多いのではないでしょうか。
無意識の領域でこそ人間の最大の力が発揮されるのではないか・・・そう着目し、我々人間によって作りだされた美学や道徳的先入観などのリミテーションから解き放たれ、理性による支配がない無意識の世界を表現しようとしたのがシュルレアリスム、超現実主義なのです。
引用元:軽井沢ニューアートミュージアム:シュルレアリスムとは何か 超現実的講義
シュルレアリズムの作品って見ていて優雅な気分になるという感じではないのですが、なぜか無性に惹かれます。私の無意識が反応しているのでしょう。ダリやキリコの作品も有名ですが、私は見ていてちょっと怖くなってしまうことも多いです。一方マグリットの作品は色合いや目の書き方がそこまで生々しくないので、まだ落ち着いて楽しむことができます。何が言いたいかというと、マグリット作品が好きなんです。
若き頃のマグリット。なかなかかっこいいですね。彼はは自分の絵を「目に見える思考」であり、世界が本来持っている不思議をイメージとして提示したもの、と述べています。
またマグリットの生涯は奇行とはかけ離れた平凡なものだったそうです。面白いですね。
シュルレアリズムを見るにはあまり解説は後回しにして、自分の頭と直感でどんな絵なのか思い巡らせるのが楽しいです。(マグリット美術館には日本語のオーディオガイドはなかったのでちょうどいい。)例えばこんな風に・・・
「家と球体」・・・立派な建築で、暖かい明かりも灯っている素敵な邸宅だ。しかしその上には重そうな球体があり、木の寿命とともにだんだん家を押しつぶすに違いない。そしてそれは近い将来きっと起こりうるのである。人は幸せの中にいても常に不安とともに生きている。しかし巨大な樹木には家と球体をすっぽり覆ってしまう扉がついている。他人には決して見えない不安なのである。
「正面衝突」…急いで歩いていたらぶつかりそうになった二人の紳士。一方はかっ色の肌をした体格のいいアジア系の紳士。もう一人は青白い頬をしたやややせ細った紳士である。二人は同時に同じことを思った「急いでいるんだ。先へ行きたい・・お前が譲れ、外国人のくせに」とばかりにジリジリと睨み合っている。よく見て見るとこの二人は肌の色こそ違うもののよく似ている。そう彼らは前世で兄弟だったのだ。しかしそんなことも知らず、立ち往生して進めないでいる。
こんな風に自分で解釈してから、本当の解説を聞くのが面白いです。あとの作品はぜひそんな感じでご覧ください。そして本当の解説はぜひベルギーで聞いてください。ガイドは英語ですが、ゆっくり話すので大体わかります。