東京には数多くのネパール料理店がある。かつては「インド料理」という看板を出しながら、実際はネパール人がインドカレーもどきを作って提供しているということが多かったが、最近は他店との差別化を測るためか、ネパールの知名度が上がったためか堂々とネパールを前面に押し出して営業している。
私が初めてネパール料理を口にしたのは23歳の時で、本場カトマンズの小さな路面店で食べたのを確かに記憶している。初めて食べたダルバートは、街中の黄土色の土埃や目を背けたくなるような生肉の陳列の存在を(一瞬だけ)忘れさせてくれるぐらい美味しかった。
こちらが先日いただいた渋谷「NEPALICO」のダルバート。ダルは豆、バートはライスの意味である。日本で食べるダルバートは現地より澄んだ味がする。
一番右にある「ダル」という豆のスープがある。食べ方はそれをまずライスの上にかける。それから真ん中にあるスパイスで煮込まれた野菜スープをさらにかける。好みで真ん中の赤いペーストを混ぜたりしながら食べる。徐々に左の大根のスープも混ぜて食べ進めていく。一つ一つのおかずは少し物足りないぐらいのあっさりした味付けなのだが、全部一緒にして融合すると、複雑で味わい深い食べ物になるのが面白い。
スープのかけ方の比率が違うと味が変わり、一口ずつわくわくしながら楽しめる料理だ。
懐かしくなったので、自分のフェイスブックからネパール旅行の写真を引っ張り出してみた。怖いものや綺麗じゃないものにもたくさんあったが、ずっと思い出深い国として心に残っている。