文型にはないですが、初めに「さすが」の意味を導入しておきます。
さすが:「すごいと思う」「やはり/思った通り」
A:田中さん、英語で話しているよ。
B:15歳までイギリスに住んでいたからね。さすがだね。
(「子どもの頃イギリスに住んでいたから、きっと英語が上手だろうと思っていた。そして実際に話している状況を見て、思っていた通り上手で、すごいなあ」という意味。)
意味1
「思っていた通り〜で、すごいと思う」・・・話し手の心に「〜は〜はずだ」という予想があり、その通りの結果になった/状態だった/期待は正しかった という気持ちを強める役割があります。
田中さんは15歳までイギリスに住んでいたから、さすがに英語が上手だ。
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李さんが作ってくれた本場の中華料理はさすがにおいしかった。
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日曜日の喫茶店はさすがに混んでいる。
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冬の北海道はさすがに寒い。
意味2
「いつもはAだけど、この場合はBだ」・・・予想とは違った結果になったことを表します。
いつも優しい妻だが、飲みすぎて朝5時に帰った時はさすがに怒っていた。
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ミラーさんはお酒が強いが、さすがにワイン一本を一人で飲めば酔うだろう。
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田中くんはいつも元気だが、最近の寒さでさすがに風邪を引いたようだ。
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仕事で上司や取引先の人と話すのには慣れているが、彼女の父親と会うのはさすがに緊張する。
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さすがにゲームをしていて宿題を忘れたなんて言えない。
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な形容詞と名詞は「だ」がつきません。「な形容詞/名詞ーである」も使えます。「な形容詞ーな」も使えます。
例)予想していなかっただけに、突然彼にプロポーズされた時は本当に驚いた。
「〜だけあってさすがに〜」の「だけあって」は上記の「普通Aだったら、当然B」の意味です。いい評価をするときに使う場合が多いです。
あの大学は長い歴史があるだけあって、さすがに地元の人によく知られている。
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彼は大手通信会社の社長だけあって、さすがに最新のケータイを使っている。
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このレストランは 高い/有名な だけあって、さすがにどの料理もおいしい。
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反対意見が多くて、さすがの部長も、計画を変えることにした。
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彼が3度も約束を守らなかったので、さすがの私も頭にきた。
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この漢字の読み方は難しくて、さすがの先生も辞書をひいた。
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「〜がち」は「〜ことが多い」「〜の傾向がある、〜の割合が多い」という意味。普通より悪い傾向であることを表す場合が多いが、単に普通より多めという意味で使われることもあります。
よく使う動詞は「休む、忘れる、遅れる、風邪をひく、起こる、〜してしまう」など。名詞は「病気、曇り、遠慮、不足、留守、休み」などがります。
「〜がち」の前の接続は動詞ます形に接続ですが「不足がち/不足しがち」のように3グループの動詞は両方言えます。
雨が降ると、飛行機は遅れがちになる。
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リンさんはアルバイトを始めてから、学校を休みがちだ。
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田中さんは伝え方が下手なので、初対面の人には変な人と思われがちだ。
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一人暮らしをしている病気がちの祖母の家を訪ねる。
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来週の東京は曇りがちな天気が続くでしょう。
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外食が続くと野菜が不足がちになる。
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遠慮がちにしている友達に自分の家だと思ってのんびりしてよと言った。
「遠慮がちに」は「遠慮している様子で」の意味で、慣用句的な用法です。他には「伏し目がちに」「はにかみがちに」「夢見がちに」などがあります。
類似表現①「〜ぽい」
類似表現②「〜やすい」(みんなの日本語44課)
例文)
○このスニーカーは歩きやすい。
×このスニーカーは歩きがちだ。
「それにしても」は、「それ」が示すことに対して一度認め、さらに自分の意見を述べるときに使います。共通の話題について自分の意見を述べるときも使います。N2の文法です。
「・・・・・。それにしても、〜」の形で会話の冒頭に出てくることが多いです。話題提示、感嘆の意味で使います。
東京は物が高いと聞いていたが、それにしても生活が大変だ。
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あ、また降り始めた。洗濯物をいれなきゃ。それにしても最近雨が多いなあ。
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JLPTN1は難しいよって先生が言っていたけど、それにしてもこの問題は全然意味がわからないよ。
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A:Cさん、そろそろ来るかな。
B:残業で遅れるかもって言っていたしね。それにしても、遅いね。
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A:田中さん。来年からフランス支社で働くことになったそうですよ。
B:そうなんですか。ずっと行きたがっていましたからね。それにしても、フランスなんてすごいなあ。
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A:このホテル狭いし、食事もおいしくないし、失敗だったね。
B:うん。安かったからね。それにしても今日は文句ばかり言うね。
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「ばかり」はここでは参考の2番の「他にない」の意味です。
参考
①「ばかり」の意味
「〜して間もない」(みんなの日本語46課)
例文)メアリーさんは去年大学を卒業したばかりです
②「他にない≒だけ」(JLPTN4文法)
例文)彼女はお菓子ばかり食べる。/寝てばかりいないで勉強しなさい。
③「おおよそ」
例文)ここから駅までは5分ばかりかかります。
④「意味を強調する」
例文)そればかりは私もわからない。/こればかりの問題も答えられないのか。
⑤「今にも〜しそう」
例文)彼女は今にも帰りださんばかりだ。
⑥「さも〜のように」
例文)早く帰れと言わんばかりの冷たい対応だった。
⑦「それだけが原因で」
例文)ちょっと油断をしたばかりに、転んで怪我をしてしまった。
⑧「〜とばかりの形で、というほどの勢いで」
例文)ライバルには負けじとばかり、毎日残業して頑張った。
彼がクリスマスに私を誘いました。きっとプロポーズされると思い、ドキドキしていました。すると彼が言いました。「別れたい」・・・びっくりしてしまいました。
→結婚を申し込まれるとばかり思っていた私は思いがけない話を聞いて、びっくりしてしまいました。
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私は英語が話せません。海外転勤はできないと考えていました。でも突然部長が「イギリス支社に行ってみるか」と言いました。嬉しいです。すぐ妻に電話をかけました。
→海外転勤はできないとばかり思っていた私は、思いがけないイギリスへの転勤の話を聞いて、嬉しくて妻にすぐ連絡してしまった。
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*な形容詞と、名詞は「ーだ」ではなく、「ーな」、または「ーである」を使います。
「思われがち」の意味は「一般的にそう思われている」と言う意味です。「が」は逆接です。「一般にAはBだと思われているが、実際はそうでない場合もある(私は違う意見だ)」という意味です。
お酒は一般的に体に悪いと思われています。でも少しの量なら問題ないという人もいます。
→お酒は体に悪いと思われがちだが、少しの量なら問題ないという人もいます。
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東京は物価が高いと良く言われます。でも最近は安い店やシェアハウスも増えているので、工夫すれば生活費は安くなります。
→東京は物価が高いと思われがちだが、安い店を利用したりシェアハウスに住んだりすれば生活費はそれほど高くないです。
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会社を辞めるのは良くないという人が多いです。でも我慢しすぎると病気になるし、他の仕事はたくさんあるので、嫌ならすぐに辞めた方がいいです。
→会社を辞めるのは良くないと思われがちだが、我慢しすぎると病気になるかもしれないので、嫌ならすぐに辞めて他の仕事を探したほうがいいです。
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